漫画「授か離婚 一刻も早く身籠って、私から解放してさしあげます」をネタバレ解説
精霊の加護を受けた者こそが尊ばれる国。その中で、白い髪と白い肌を持ちながら、精霊の力を一切宿さなかった娘フェデリカは「色無し」と呼ばれ、幼い頃から人々の冷たい視線にさらされてきた。
家族からも、同年代の子供たちからも、彼女は「欠けた存在」として扱われ、自分には何の価値もないのだと信じ込んでしまう。
けれどフェデリカには、ひとつの才能があった。――それは優れた治療魔法の力。彼女自身はその意味を大きく考えてはいなかったが、国は彼女の持つ血筋と力を必要としていた。
「魔法師の血を絶やしてはならない」
その王命のもと、フェデリカはある日突然、結婚を命じられる。相手は、伯爵家に生まれ、若くして騎士団に名を連ねる青年アルマンド。誰もが憧れる清廉な騎士であり、真面目さと気高さで知られる人物だった。
顔合わせもろくにないまま、式の日を迎える。
祭壇に立つアルマンドを見た瞬間、フェデリカの胸は強く締めつけられた。
あまりに美しく、誠実で、立派な彼。そんな人と自分が釣り合うはずがない。自分はただ「色無し」という烙印を押された哀れな女にすぎないのだから――。
その夜、彼女は決意する。
「早く子を授かり、役目を果たしたら離婚しよう。そうすればアルマンドさまは自由になれる」
健気で、しかしどこか歪んだ自己犠牲の決意。フェデリカにとって、それが彼への最大の思いやりだった。
一方のアルマンドもまた、複雑な思いを抱いていた。
「どうして彼女のような不憫な女性が、こんな形で嫁がされるのだろう」
真面目で優しい彼は、フェデリカを蔑むことなどできなかった。むしろその控えめな笑顔に惹かれ、守りたいと感じ始めていた。けれど彼は不器用で、言葉にすることが何より苦手だった。
結果として、二人の思いはいつもすれ違う。
フェデリカは「自分は迷惑をかけている」と思い込み、アルマンドは「彼女を大切にしたい」と思いながら口にできず、沈黙してしまう。
それでも、共に過ごす日々は少しずつ二人の心を変えていく。
雨の日に交わした小さな会話。互いを気遣う視線。何気ないふれあい。
その積み重ねは、確かに二人の距離を縮めていた。
やがて、フェデリカは自分がどれほど彼に心惹かれているかを自覚する。
アルマンドもまた、彼女を“義務の妻”ではなく、“愛すべき女性”として見ていることに気づき始める。
けれど二人を縛るのは「授かれば離婚」という最初の誓い。
果たして二人は、その誤解を解き、本当の夫婦として歩み出すことができるのか――。
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