漫画「逆行した悪役令嬢は、なぜか魔力を失ったので深窓の令嬢になります」をネタバレ解説
ラシェル・マルセルは、かつて“魔力に愛された令嬢”と呼ばれた。
名門マルセル公爵家の娘として生まれ、幼い頃から誰もが畏怖するほどの魔力を宿し、王国の未来を託される存在——その力はやがて、王太子ルイの婚約者という立場を彼女に与えた。
だが、運命は残酷だった。
王国に“聖女”と呼ばれる少女アンナが現れたその日から、ラシェルの人生は狂い始める。
嫉妬と恐怖に駆られた彼女は聖女を排除しようと企て、結果として王太子から婚約を破棄され、すべてを失った。
護送の途上、盗賊に襲われ命を落としたとき、彼女はただひとつの悔恨を抱いていた。
——あの時、違う道を選べていたなら。
次に目を覚ました時、ラシェルは見覚えのある天蓋の下にいた。
「……ここは、私の部屋?」
鏡に映った顔はまだ幼さの残る令嬢のもの。カレンダーは三年前を指している。
信じられぬことに、彼女は“逆行”していたのだ。
しかしそれはただの奇跡ではなかった。
かつて誇った魔力は跡形もなく消え、彼女の身体は病に蝕まれたように弱っていた。
ベッドから起き上がるのも辛く、今や彼女は“深窓に閉じこもる病弱な令嬢”となっていた。
「……神様は、私に安穏とした余生を与えようとしたのね」
ラシェルはそう受け取り、かつての過ちを繰り返さず、静かに人生を過ごすことを望む。
だがその決意は、婚約者ルイに「婚約破棄を」と告げた瞬間、脆くも揺らいだ。
「破棄? そんなもの、認めるつもりはない」
前世であっさり切り捨てた男が、なぜか今世では彼女に執着を見せる。
その真意は、冷徹な眼差しの奥に隠されていた。
さらにラシェルの前に現れたのは、この世界に存在するはずのない存在——“闇の精霊”。
光を導く聖女アンナとは対照的に、ラシェルは闇を宿す器として選ばれたのか。
病弱で、魔力もなく、ただ平穏を望んだはずの令嬢の周囲に、再び運命の渦が巻き起こっていく。
やがて魔術師テオドールが差し伸べる手、聖女アンナとの再会、王太子ルイの執着と贖罪。
すべてが交錯する時、ラシェルは己の未来を選ばねばならなかった。
——破滅か、再生か。
二度目の人生は、彼女に“真の幸せ”をもたらすのだろうか。
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