漫画「悪役のエンディングは死のみ」をネタバレ解説
目を覚ますと、そこは見慣れた部屋ではなかった。
金糸の刺繍が施された天蓋、磨かれた床、重厚なドレスの裾が視界をよぎる。そして鏡の中には――見覚えのある、冷たい笑みを浮かべる令嬢の顔。
ペネロペ・エカルト。
彼女は知っている。この顔、この名。この運命。
それは、自分が何度もプレイしてきた乙女ゲームに登場する“悪役令嬢”であり、どのルートでも必ず死を迎える悲惨なキャラクターだった。
「……なんで、私がペネロペに?」
しかもこの世界はゲームではなく、やり直しもセーブも存在しない。選択を間違えれば、即座にバッドエンドが訪れる現実だ。
ペネロペは決意する。「生き延びる」――ただそれだけが目的のサバイバルが始まった。
命懸けの“好感度”ゲーム
この世界では、攻略対象たちの好感度が数値として見える。
皇太子カリスト・レグルス、冷徹で鋭い眼光を持つ青年。
騎士イクリス、孤児院出身の純真さと影を併せ持つ少年。
魔術師ヴィンター、柔らかな微笑みの奥に何を隠すか分からない謎の青年。
そして二人の義兄――デリックとレナルド。ペネロペに冷たく接する家族。
会話一つ、視線一つで好感度が上下する。
たとえ数値がプラスになっても、それは必ずしも安全を意味しない。
好感度が高すぎれば、執着と狂気が生まれ、彼らの愛は刃に変わる。
低ければ、無関心と憎悪がペネロペを断罪台へ導く。
「どっちに転んでも危険って、どういうゲームよ……」
彼女は笑えない冗談の中を、慎重に言葉を選びながら生きていく。
襲いかかる罠と陰謀
義兄たちは、ペネロペを家族と認めず、冷たくあしらい続ける。
皇宮では、皇太子カリストが傲慢な微笑みを浮かべ、試すような言葉を投げかけてくる。
その一方で、イクリスは無垢な瞳で「あなたのためなら何でもする」と囁き、危うい影を見せ始める。
ペネロペの周囲は、甘さと毒をまとった罠で満ちていった。
やがて、ゲームの本筋には存在しない“黄金の竜”の影が現れる。
それはこの世界を揺るがす異変であり、イヴォンという女性が操る鏡の欠片と深く関係していた。
ペネロペは、自分が知っていたシナリオが崩れ始めていることを悟る。
最終決断
裏切りと陰謀が絡み合う中、ペネロペはイヴォンとの死闘に挑む。
鏡の欠片を破壊し、彼女を打ち倒したその瞬間も、安堵はなかった。
黄金の竜が皇宮を襲い、カリストは竜の毒に倒れる。
瀕死の彼の前に、選択肢が浮かぶ――
「愛していると告げ、この世界に残る」か、「元の世界に帰る」か。
ペネロペは迷わず前者を選んだ。
「私は、あなたとここで生きる」
その言葉に、カリストは微笑み、深い眠りへと落ちていった。
そして、その後
竜の脅威が去り、カリストは再び目を覚ます。
二人は穏やかな時間を取り戻し、やがて新たに「国家遺物遺跡探査部」が設立され、ペネロペは次長に就任する。
イクリスは記憶を失った姿で再び現れ、デリックやレナルドもそれぞれの和解と再生への道を歩み始める。
ペネロペの物語は、“悪役令嬢”としての死ではなく、“一人の女性”として選び取った生の物語として幕を閉じた。
0コメント