漫画「わたしが選ぶ理想の結婚」をネタバレ解説
――結婚は“ゴール”じゃない。
“この人でいい”じゃなく、“この人がいい”と思える相手と生きていきたい――
それに気づいたのは、34歳の誕生日のことだった。
*
野間口はるひは34歳。仕事もプライベートも大きな波はなく、平凡で、安定した毎日を送っていた。
6年付き合っている恋人・尚孝とは、すでに4年間の同棲生活。
お互いの生活リズムはすっかり馴染みきっていて、特に大きな喧嘩もなく、静かな時間が流れている。
だけど、心のどこかに、いつも小さな違和感があった。
朝起きて、隣で眠る彼の顔を見ても、ときめかない。
帰ってきて「おかえり」と言われても、あたたかさより惰性を感じる。
それでも、「そんなものだ」と自分に言い聞かせてきた。
情熱は時間と共に薄れるもの。結婚って、そんなもんじゃないの?
そう思っていた。
──そんなある日。
はるひは、尚孝からプロポーズを受ける。
記念日でもなく、サプライズもなく、どこか事務的な雰囲気。
それでも、6年付き合った結果なのだから…と、彼の言葉に頷いた。
だが、その夜。
彼のスーツにほのかに漂う“誰かの香水”の匂い。
数日前、街で偶然見かけた、尚孝と親しげに話す“知らない女性”。
それらが重なって、心に積もった小さな違和感が、にわかに現実味を帯びていく。
「もしかして、浮気…?」
否定したい。でも、確信もできない。
彼に問いただす勇気もないまま、はるひの心は揺れに揺れていく。
そんな矢先、彼女の職場に現れたのが、新しい上司・間宮樹。
29歳の若さで管理職に就く彼は、海外MBAを持ち、語学も堪能で、誰に対しても分け隔てなく接するスマートな男。
でも、ただスペックが高いだけじゃない。
仕事中の何気ない会話や気遣い、誰かを叱る時の真剣な眼差し、そしてふとした瞬間に見せる優しさ――
そのすべてが、はるひの凍えた心をじんわりと溶かしていった。
「恋って、こんなに静かに始まるものだったっけ…?」
迷いと後ろめたさを抱えながらも、間宮の存在は、はるひに“忘れていた気持ち”を思い出させてくれる。
だけど、今の自分には尚孝という婚約者がいる。
安定した生活と、6年という積み重ね。
一方で、心を揺さぶられる新しい可能性――
はるひは問い続ける。
「私は、このまま誰かの“選択肢”のままでいいの?」
「結婚は、妥協や義務感でするものなの?」
選ぶべきは、年齢でも、周りの期待でもない。
“誰かに選ばれる自分”ではなく、“自分が選ぶ未来”。
自分の人生を、自分で決めるために。
はるひは、静かに、でも確かな決意を胸に、人生を再び歩き出す――
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