漫画「クズの正しい愛し方」をネタバレ解説
雨上がりの空のように、どこか晴れきらない気持ちを抱えて――
柏木玲美、22歳。病院の受付として働く彼女は、どこか他人との距離を測るのが苦手で、恋愛にも臆病だった。
けれどその臆病さには理由がある。
高校時代、彼女は一人の男子と関係を持った。有嶋穂高。クラスでも目立つ、明るくて女好きで、何もかも“軽そう”な彼。そんな彼に惹かれ、身体を重ねたあの夜は、玲美にとって忘れられない初めてだった。
だが――その後、彼に「俺のこと、どう思ってるの?」と問われたとき、玲美は何も言えず、その場を逃げ出した。そしてそのまま、二人は何も言葉を交わすことなく卒業した。
あれから三年。
玲美は社会人としての毎日に追われながらも、心のどこかにあの日の後悔を抱えて生きていた。
そんなある日、彼が現れた。
――穂高、まさかの再会。
まるで時間が巻き戻ったように、穂高は昔と変わらず、軽い口調で玲美をからかい、懐かしむように距離を詰めてきた。そして、まるで当然のように、再び身体の関係を持つことになる玲美。
彼にとって、私はただの“都合のいい女”なのだろうか。
そんな思いが胸を締めつけるのに、拒むことができない。
あの頃、伝えられなかった気持ちが、まだ残っているのかもしれない――そう思うたび、玲美の心はまた痛んだ。
一方で、玲美の職場の医師・中村先生は、彼女に好意を抱き、真剣に交際を申し込む。穏やかで誠実な中村の存在は、玲美にとって“安定した幸せ”の象徴だった。
けれど、彼の想いに応えることはできなかった。心のどこかで、まだ穂高を引きずっていることを、玲美は認めざるを得なかったから。
そんな彼女の態度に、穂高は苛立ちを見せる。嫉妬、独占欲、そして「玲美は俺のもんだろ」という発言――まるで子どものような強引さと、不器用な愛情に、玲美の心は再び揺れる。
「俺、マジで好きなんだよ。玲美のこと」
穂高が真剣な瞳でそう告げた瞬間、玲美の中に眠っていた感情が、一気にあふれ出す。
それでも玲美は迷っていた。
彼の“好き”が本物かどうか、自分がそれを受け入れていいのか。
高校時代と同じように、逃げたくなる気持ちがふと顔を出す。
でも――もう逃げたくない。
一度手放した“好き”という想いに、今度こそ向き合いたい。
真面目で臆病な女と、軽そうでまっすぐな男。
何度もすれ違いながら、それでも惹かれ合うふたりが選ぶ未来とは――
これは、“クズ”な男と“逃げ癖”のある女が、
本当の「愛し方」を手探りで見つけていく、
切なくも熱い、再恋のラブストーリーである。
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