漫画「クズでも愛して? 片想いのイケメンお兄さんにカラダも堕とされて抜け出せません」をネタバレ解説
あの日、私の恋は始まった──。
小さな頃から隣に住んでいたお兄さんは、私にとってヒーローのような存在だった。
学校で泣いて帰ってきた日も、家で怒られた夜も、いつだって彼は私の味方だった。
背が高くて、笑うと少しだけ口元がゆるんで、優しくて。
私が思い描く「理想の男」は、いつだって彼の姿だった。
だけど、大人になって再会した彼は──私の知っている“お兄さん”じゃなかった。
職場も変わり、町で偶然出会った彼は、女の子と腕を組んで笑っていた。
昔と同じ顔なのに、目だけがどこか冷たい。
「お前、こんなに大きくなったのか」なんて、軽い言葉で頭を撫でてくる彼に、私は戸惑いながらも胸が高鳴っていた。
彼は変わった。
私のことなんて、もう何とも思っていない。
そう分かっているのに、また好きになってしまう。
彼の笑顔に、言葉に、少しの優しさに。
そして私は──気づけば、彼のベッドにいた。
「好きだよ」って言ってほしい。
でも彼はそんな言葉を一度も口にしない。
抱かれるたびに、彼が私を見てくれている気がして、
それだけを信じていた。
周りの友達は言う。「そんな男、やめた方がいい」って。
自分でも分かってる。
でも、もう抜け出せない。
たとえ彼が誰と寝ていたって、何人の女と関係を持っていたって、
私は彼が好きだった。
ある夜、彼に「重いんだよ」と言われてしまう。
胸が張り裂けそうだった。
でも、それでも私は言ってしまった。
「お願い、捨てないで……」
バカみたいだと思う。
それでも好きで、抱かれて、また泣いて──
どうしようもない恋に溺れていく。
けれど、そんな私に、彼はぽつりと呟いた。
「……なんでお前だけ、俺を信じてくれるんだよ」
その一言に、私は初めて知った。
この人もまた、誰かに愛されることを知らずに生きてきたんだと。
傷つきながらも、私は彼の手を握る。
それが報われる日が来るかなんて分からない。
でも、たとえこの恋が“間違い”だとしても、
私の気持ちは、ずっと本物だった。
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