漫画「つまり そういうコト。カラダは愛に入りますか?」をネタバレ解説
静かな夜、吉高要はふとペン立てに並ぶ万年筆を指でなぞりながら、心の奥に渦巻く“虚しさ”に気づいていた。
文具オタクの彼女にとって、お気に入りのインクのように“ときめき”は日常の潤いのはずだった。だが今、胸に残るのは乾いたインク壺のような空虚感だけ。
つい最近、付き合っていた彼氏に振られた。
「エロい顔してるから期待したのに、つまんない」と。
恋だと思っていたものは、ただの“身体目的”だったのか。
自信を失い、恋愛に臆病になる一方で、彼女の中にはもう一つの感情が芽生え始めていた。
――これからは、身体だけの関係に慣れていれば、こんなに傷つかずに済むのかもしれない。
そんなある夜、兄・洋平が泥酔して帰宅した。
その肩を支えていたのは、兄の同期にして旧友、葛見佳鷹。
スーツの襟元はゆるみ、どこかだらしなさを漂わせるその男は、要にとっては“近づくべきではないタイプ”だった。
「お礼言うね、いつもすみません」
そう言いながら葛見を見上げた瞬間、要は彼の頬に赤い痕を見つけた。
「…誰かに殴られました?」と尋ねれば、彼は苦笑いを返す。
女性関係が派手で、傷もトラブルも絶えない――そんな噂は本当だった。
だけど、その夜。
思わず漏れた要の独り言に、空気が変わる。
「…葛見さんだったら、好きになりようがないし……セフレに最適かも」
冗談半分、でもどこか本気で。
それは傷ついた女の、ひそかな“予防線”だった。
だが、葛見はその言葉を逃さなかった。
「――じゃあ、俺で試してみる?」
要が戸惑う間もなく、彼の唇がそっと触れた。
息を呑んだ瞬間、彼の声が耳元で囁く。
「ただし……お兄ちゃんには内緒で、な?」
その日を境に、二人は“誰にも言えない関係”を始める。
それは恋じゃない。ただの身体の関係。
そう言い聞かせながらも、触れられるたびに、要の心は波立っていく。
優しさの裏にある“本心”を知りたくなる。
笑顔の下に隠れた“孤独”に気づいてしまう。
そしていつしか、恋をしてはいけない男に、誰よりも惹かれていく――。
だが、兄・洋平の激しい拒絶、そして葛見の“遊び人”としての過去が、要の心に影を落とす。
この関係は一体、何なのか。
欲望だけなのか、それとも…?
「カラダだけの関係」が、
「心を溶かす恋」へと変わっていく――
これは、不器用な男女がすれ違いながらも、本物の愛を見つけていく、
秘密と欲望と、ちょっぴりの純情でできた、大人の恋の物語。
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