漫画「俺じゃねぇとダメなくせに~この男、愛し方も超一流」をネタバレ解説
四年目のパタンナー、百瀬明(ももせ あきら)は、ひたすらに仕事に打ち込んできた。デザインを実現するために必要不可欠な“型紙”を作る職人として、裏方に徹しながらも理不尽な環境の中で日々を耐えていた。──だが、もう限界だった。
「ふざけるのもいい加減にしてください!」
職場での暴言、無茶な納期、無視される努力。ある日ついに、積もりに積もった怒りが爆発し、目の前にいた社長の顔面に拳を叩き込んでしまう。
その瞬間、明の仕事人生は崩壊した。
当然、クビ。即日退社。さらに住んでいた社員寮も追い出され、荷物をまとめて放り出される始末。
所持金もわずか。頼れる人もいない。都会の片隅で、明は一人、膝を抱えていた。
そんな彼女の前に、思いがけない人物が現れる。
「……お前、なにしてんだよ、こんなところで」
暗がりから声をかけてきた男。それは──専門学校時代の相棒、支倉那智(はせくら なち)だった。
学生時代、明のパターンを完璧に理解し、最高の作品を生み出してくれた天才デザイナー。けれど、ある“理由”でふたりは袂を分かち、それ以来一度も連絡を取っていなかった。
「俺が助けてやろうか?」
無遠慮にそう言って、那智は明の荷物をひょいと持ち上げる。そして当然のように歩き出し、たどり着いたのは高層タワーマンションの一室──彼の自宅だった。
戸惑い、拒絶する明をよそに、那智はぐいぐいと距離を詰める。
玄関に入った瞬間、彼は鋭い目を向けてこう言い放った。
「……なんで俺から逃げたのか、ちゃんと答えてもらうからな」
過去の記憶が、胸をチクリと刺す。あの頃、何を思い、どうして明は彼のもとを離れたのか──。
こうして始まった、元相棒との“強制同居”。仕事も生活も、ベッドも、すべてを共にする濃密な日々が幕を開ける。
一流デザイナーとして成功を収めた那智は、明に対して執着を隠そうともしない。
「お前は俺じゃなきゃダメなんだろ?」
そんな言葉を何度も浴びせながら、彼は愛を全力でぶつけてくる。
最初は逃げ腰だった明も、次第にその愛に揺さぶられ、心を開いていく。
──だが、再会の裏にはまだ語られていない過去があった。
そして、ふたりの間に新たに芽生える“本物の想い”が、未来を大きく変えていく。
これは、逃げた恋と、諦めなかった男の、再燃する恋の物語。
すれ違った過去を塗り替え、“今度こそ”本気で愛し合うふたりの行く末は──。
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