漫画「いま彼氏とかいらなくて(ウソ)」をネタバレ解説
高木ナズナは、都内の企業に勤める地味なOL。
自分に自信がなく、周囲の女性のように華やかにもなれず、恋にも臆病なまま日々を過ごしていた。
そんな彼女には、ずっと想いを寄せる存在がいる。
それは直属の上司である一条課長。
仕事はできる、ルックスはモデル級、そしてスマートで無駄な言動を一切しない彼は、社内の女性陣の憧れの的だった。
もちろんナズナも、その一人——いや、実は誰よりも長く、一条を見つめてきたのかもしれない。
でも、ナズナはただの“見るだけの人”だった。
話しかけることすら勇気が要り、飲み会では遠くの席から彼の声を聞くだけで満足していた。
ところがある日、思いがけないことが起こる。
会社の飲み会の帰り道、一条がナズナに声をかけてきたのだ。
「このあと、もう少し飲まないか?」
その一言で、ナズナの世界が音を立てて動き出す。
二人きりのバー。少しだけ緊張のほぐれた空気。
そして、酔いと高鳴る鼓動に導かれるまま、ナズナは彼と一夜を共にしてしまう。
翌朝、ベッドの中で目覚めたナズナは、現実が信じられなかった。
夢だったのではないか、と何度も目をこすった。
けれど現実は、残酷にも甘く、そして曖昧だった。
ナズナは自分の想いを隠すため、「いま彼氏とかいらなくて……」と強がりを言ってしまう。
彼に迷惑をかけたくなかった。傷つくのが怖かった。
それでも、彼のそばにはいたかった。
そんなナズナに対して、一条は無表情のまま、思いがけない提案をする。
「じゃあ、“割り切った関係”ってことで続けるか」
それはまるで、恋ではない何かのようで。
けれど、ナズナにとっては、夢の続きのようでもあった。
こうして二人は、恋人でもなく、ただの関係でもない、曖昧な時間を共有するようになる。
週末になるたび、ナズナは彼のもとを訪れ、一条と同じベッドで過ごす。
そのひとときが幸せだった。けれど、同時に苦しかった。
——私は、ただの“都合のいい女”なんだろうか?
心のどこかでそう思いながらも、ナズナは自分を変えようと決意する。
少しでも“彼女”に近づくために。
鏡の前でメイクの練習をし、服を変え、歩き方すら意識するようになった。
その努力が実を結ぶかのように、少しずつ一条との距離も縮まっていくように思えた。
……しかし、それをじっと観察する視線があった。
後輩OL・マイカ。
明るく華やかで、誰とでもすぐに打ち解ける彼女が、あるとき、ナズナに告げる。
「課長と……付き合ってるんですか?」
その言葉に、ナズナの胸が凍る。
マイカの目は笑っていなかった。
その瞬間から、ナズナの“夢のような関係”に、暗い影が差し始める——。
✨ここがポイント
「都合のいい女」を受け入れてしまうほど臆病なヒロインの繊細な心理描写
ミステリアスで無口なイケメン上司の“真意”が見えないもどかしさ
TLながらサスペンス風味の展開もあり、飽きずに読み進められる構成
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