漫画「ニートだけどハロワにいったら異世界につれてかれた」をネタバレ解説
三嶋勇樹、二十代半ば。大学を卒業してからというもの、就職活動は失敗続き。気づけば、アルバイトすらせず、実家でぐうたらな毎日を送るニートとなっていた。母親の視線は日に日に冷たくなり、ある日とうとう限界が訪れる。
「いい加減、働きなさい！」
母の怒号に押し出されるように、勇樹はしぶしぶ地元のハローワークへと足を運んだ。冷たい冬の風が吹き抜けるその日、彼は人生で初めて「本気で就職を考えよう」と、わずかに前向きな気持ちを抱いていた。しかし、その思いはあまりにも奇妙な形で裏切られることになる。
受付で番号札を引き、順番を待っていると、突然目の前が真っ白になった。まるで雷に打たれたような衝撃。気づけば、見知らぬ森の中に横たわっていた。空はどこまでも青く、鳥のさえずりと風の音が耳をくすぐる。目の前には、ローブをまとった美しい女性が立っていた。
「あなたが……勇者様ですね？」
ぽかんと口を開ける勇樹。ここがどこなのか、なぜ自分がいるのか、まったく理解が追いつかない。ただ一つ確かなのは、ここが日本ではないということだけだった。
女性の名はリーナ。彼女は王国の魔法使いで、異世界を救うべく「勇者」を召喚したのだという。しかし、ステータスを確認したリーナの顔はすぐに曇った。勇樹の持っているスキルは、「履歴書作成」「職業適性診断」「面接マナー講座」――。剣も魔法もない、完全に就職支援に特化したスキルばかり。
「これは……使えませんね。」
そう言い放たれ、勇者としての未来は早々に絶望的かと思われた。しかし、勇樹は諦めなかった。剣を振るえなくても、魔法が使えなくても、働き方ならわかる。少しでもこの世界の役に立とうと、彼は行動を開始する。
まずは、治安の悪化に苦しむ村の自警団を訪れた。過労と混乱で機能不全に陥っていた彼らに、シフト管理の概念を導入。続いて、冒険者ギルドでは、ブラックな労働環境を改革し、働き手の士気を大幅に向上させた。農民たちには作業効率化の手法を伝え、収穫量は劇的に増加。
勇樹の改革は、じわじわと世界を変えていった。彼はやがて「異世界のハローワーク先生」と呼ばれ、剣も魔法もないのに、人々の信頼を一身に集める存在となった。
だが平和は長くは続かない。魔王軍が動き出し、王国は再び危機に瀕する。しかし、勇樹は恐れなかった。戦場に剣を持って立つことはない。だが、彼には仲間がいた。自らが改革してきた人々が、彼の呼びかけに応え、力を合わせて戦う。
「俺は勇者じゃない。ただのニートだ。でも――みんなで力を合わせれば、どんな困難も乗り越えられる！」
仲間たちの団結が、世界を救う大きな力となる。異世界の空の下、かつてのニートが、誰よりも頼もしいリーダーへと変わっていく物語。
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