漫画「黙って僕に甘やかされて 相性いいのはカラダだけ」をネタバレ解説
幸田恵実、30歳。
都内のIT企業でバリバリ働くキャリアウーマン。
職場では「頼れる先輩」として男女問わず信頼を集めている彼女だが、実は男運だけは壊滅的に悪い。恋をしては裏切られ、やっと心を許した相手には浮気され……。仕事では成果を積み重ねてきたのに、恋愛はいつも心に傷ばかりを残す。
ある日、そんな彼女が酒に酔い潰れた夜があった。
社内一の遊び人と名高い年下男子・古川翔太に介抱され、タクシーの中で甘い言葉に誘われるまま、一夜を共にしてしまう。
「年上なのに偉ぶらないところが好き」「先輩、超好きです」
翔太の口から次々と飛び出す“好き”という言葉。
軽薄な言葉だとわかっているはずなのに、胸の奥が熱くなる。
その夜から、二人の関係は“セフレ”という名の、甘くて危うい境界線の上に築かれていく。
身体の相性は最悪なくらい最高。
行為の最中、翔太は何度も恵実を「可愛い」と言い、キスを重ね、まるで恋人のように振る舞う。
「恵実って呼んでもいい?」
名前を呼ぶ声が、心の奥に届く。
――でも、所詮これは恋じゃない。
そう自分に言い聞かせながら、恵実は翔太との関係におぼれていく。
気持ちが高まれば高まるほど、「これはセフレなんだから」とブレーキを踏もうとする自分が痛い。
そんなある日、「翔太が同僚の千佳とデートしていた」という噂を聞いてしまう。
言い訳すら聞かず、恵実はホテルを後にし、心を閉ざしてしまった。
その翌日は、恵実の誕生日前日。
社内で起きた大トラブルに真っ青になるが、翔太は「任せてください」と頼もしく対応。
深夜、ついにトラブルが収束し、恵実は残った仕事を引き受け一人残業。
0時――30歳を迎えた瞬間、翔太のPCが突然動き出す。
「HAPPY BIRTHDAY めぐちゃんおめでとう」の文字が表示され、ケーキを持った翔太が現れた。
「頑張ったね」
その言葉に、恵実の涙腺は崩壊する。
抱きしめられ、口移しでイチゴを食べさせられた夜は、まるで夢のように甘かった。
けれど次の日、夢は泡のように消える。
高級ホテルに美女と入っていく翔太の姿を、偶然見てしまったのだ。
雨の日、ベッドの上で涙を流す恵実に、翔太から電話。
「先輩チョコ好き?大帝国ホテルのスイートに泊まっちゃった」
無神経なその言葉に、昨日の光景がフラッシュバックし、電話を切ってしまう。
翌日、翔太はホテルのチョコを手土産に持ってくる。
けれど、恵実は「チョコ嫌いなの」と冷たく返す。
本当は大好きなのに――素直になれない。
そんな気持ちが積もっていく中、翔太の自宅で再び体を重ねる。
避妊をせず、翔太は囁く。「もしものことになったら、恵実の人生、僕にくれる?」
まるで愛の告白のような言葉に、心が揺れる。
でも――やっぱり不安は消えない。
後日、翔太は恵実と同僚の会話から、彼女が自分の“裏切り”を目撃していたと知る。
慌てて恵実を追いかけ、事情を説明しようとするが、恵実は言い放つ。
「なに必死になってるの?たかがセフレに」
「“特別”って言葉、もう聞き飽きたの」
翔太は傷ついた表情を見せ、
「…もうこの関係、終わりにしましょう」
と言い残し、その場を去っていった。
雨は止んでいた。けれど、恵実の目からは、静かに涙がこぼれ落ちていた。
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