漫画「君への愛撫は念入りに 真面目な同期と克服エッチします」をネタバレ解説
小森志保は、もう何度目になるかもわからないため息をついた。
付き合っていた彼とは、恋人としてはそれなりにうまくいっていたと思っていた。
けれど──「気持ちよくない」と一言、彼が放ったその言葉から、全てが崩れ始めた。
夜を重ねるたび、ぎこちなくなっていく関係。
手を伸ばすことも、目を見て話すことすらできなくなり、いつしかレスになった。
そして最後には、あっさりと浮気をされて終わった。
「もう、どうしたらいいか分からない」
そう呟く声すら、自分のものではないような気がした。
心にぽっかりと空いた空白を、どう埋めたらいいのか分からないまま、
志保は一人、会社の休憩スペースで缶コーヒーを握りしめていた。
そのとき声をかけてきたのは、同期の大村直史。
穏やかで真面目、いつも誰に対しても丁寧な対応を欠かさない、“いい人”と呼ばれる男だった。
「大丈夫ですか?」
彼のその言葉に、なぜか涙が止まらなくなった。
志保は、思わず全てを話してしまう。
元カレとのこと、うまくいかなかった身体のこと、自信を失くしてしまったこと──
誰にも言えなかった悩みを、まるでこぼれ落ちるように、大村にだけは打ち明けていた。
そして翌日。
「今夜、時間ありますか?」
そう誘われて、彼と二人で向かった居酒屋の片隅で、大村は静かに、けれど真っ直ぐに言った。
「俺……遅漏なんです」
「……それと。ずっと前から、小森さんのことが好きでした」
不意に放たれた、二つの重大な告白。
思わず笑ってしまいそうになるほど不器用で、でも心の奥にじんわり沁みるような告白だった。
傷を抱えた者同士、惹かれ合うなんて、都合が良すぎるかもしれない。
でも──「もう一度、ちゃんと向き合ってみたい」
そんな小さな希望が、志保の胸に灯る。
“やり直しのH”を、大村と始めることにした志保。
彼の手は驚くほど優しく、焦らすように、じっくりと触れてくる。
まだ胸にしか触れていないのに、呼吸が乱れ、身体が熱を持っていく。
こんなに丁寧にされたのは、初めてだった。
こんなに「大事にされている」と感じたのも──たぶん、初めて。
これは、ただの慰め合いじゃない。
これは、「ふたり目」同士が出会った、新しい始まりの物語。
心も身体も、優しさと想いで満たされていく──
不器用でまっすぐな、大人の純愛ストーリー。
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