漫画「オネエ上司のぐちゃあま結婚契約」をネタバレ解説
「君を、俺の“婚約者”にしたいの。」
その一言から、茜の日常は音を立てて崩れ始めた。
彼女の上司・**藤堂是彦(とうどうこれひこ)**は、誰もが振り返るような美貌とカリスマ性を持つ男。
だがその一方で、社内では「オネエ上司」と呼ばれるほど言動が艶っぽく、恋愛も自由奔放だと噂されていた。
茜はそんな藤堂に、いつも軽口を叩かれながらも、心のどこかで憧れを抱いていた。
けれどまさか、彼から突然“結婚契約”を持ちかけられるなんて――。
「会社の企画上、外部に“婚約者がいる”設定が必要なの。安心して、形式的なものよ」
藤堂はそう言って、茜の指にリングを滑らせた。
ただの契約。そう自分に言い聞かせたはずなのに、藤堂が見つめる瞳はやけに熱を帯びている。
「……演技のはずなのに、本気みたいに見えます」
「ええ、だって“本気で演じる”のが、オネエの流儀だもの」
その日から、茜は藤堂の“婚約者”として、彼と共に行動するようになる。
仕事の打ち合わせで腕を絡められ、パーティでは頬にキスを落とされる。
それが演技だとわかっていても、心臓は痛いほど高鳴る。
一方で、藤堂の態度には時折“演技とは思えない”優しさが滲んだ。
体調を崩した茜を自宅で介抱し、眠る彼女の髪を撫でながら囁く。
「……こんなに可愛いのに、なんで自分を卑下するの?」
彼の声は甘く、とろけるように優しくて、茜の理性を溶かしていく。
だが、業界では藤堂に近づく女性たちの噂も絶えない。
“あの人は遊び人”“誰にでも優しい”――そんな言葉が茜の胸を締めつける。
けれど、ふたりの関係は次第に契約の枠を超え、危ういほどに深まっていった。
「演技のはずなのに……抱かれたら、もう戻れない」
茜はそう思いながらも、藤堂の腕に身を委ねる。
唇が触れた瞬間、すべての理屈が消えた。
彼の指先、声、息づかい――どれもが愛しく、甘く、溺れるほどに。
やがて藤堂の胸の内に隠された“過去の傷”が明らかになる。
愛を信じることを恐れ、だからこそ軽やかに笑って生きてきた彼。
そんな彼にとって、茜は初めて“失いたくない存在”になっていた。
「契約なんてどうでもいい。俺は君を、本当に妻にしたい」
彼の告白に、茜の瞳から涙がこぼれる。
偽りから始まった関係が、やがて真実の愛へと変わっていく――。
華やかな業界の裏で交わされる、秘密の契約と本気の恋。
オネエ上司のぐちゃあまな愛情が、茜の世界をまるごと飲み込んでいく。
そして二人は気づく。
「演技」だったはずの結婚契約が、いつの間にか本物の“愛の証”になっていたことに。
0コメント