漫画「Love Jossie GAME~スーツの隙間~」をネタバレ解説
――電話の着信音が鳴る。
「ごめん、先に行ってて」
恋人との約束よりも、取引先からの仕事を選んでしまう自分に、27歳の小夜はもう慣れていた。税理士事務所の副部長として、責任ある立場に立つ彼女にとって、恋愛はいつだって二の次だった。仕事では誰よりも冷静で、完璧を装える。けれど、ふとした瞬間に胸の奥に広がるのは、埋まらない寂しさだった。
そんなある日、事務所に新入社員がやってきた。
その一人――桐山僚一。法学部出身の優等生で、笑顔は爽やか、言葉は誠実。誰からも好かれる好青年だった。小夜は彼の教育係となり、距離を縮めていく。しかし仕事を重ねるうちに気づく。彼の瞳の奥に、ときおり冷たい影が差すことに。
「小夜さん、本当に好きな人が見つかるまで……俺と遊びませんか?」
思いがけない提案に、小夜の心は大きく揺れた。
期間限定の“関係”。ルールはひとつ、本気にならないこと。そうして始まったのは、表では上司と部下、裏では秘密の恋人という二重生活だった。
スーツの隙間から覗く彼の体温に触れるたび、小夜は胸の奥が熱を帯びていく。これは遊びだと、自分に言い聞かせるのに。仕事を優先し、恋に不器用だったはずの彼女が、次第に桐山の言葉ひとつ、視線ひとつに心を揺らされていった。
一方の桐山も、余裕の笑みを浮かべながら、時折制御できない想いを漏らす。優しさと冷酷さを併せ持つ彼の態度に、小夜は翻弄される。――これは本当に遊びなのか。それとも彼の本心は別にあるのか。
仕事に生きるキャリア女性と、年下の新入社員。
互いに“心の隙間”を抱えた二人が、期間限定のはずだった関係に溺れていく。
そして、決められたゲームのルールを破る瞬間が、静かに近づいていた――。
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