漫画「追放聖女は獣人の国で楽しく暮らしています 自作の薬と美味しいご飯で人質生活も快適です」をネタバレ解説
ギィランガ王国の三大聖女のひとり、ラナ=リントス。
その神聖な力と穏やかな人柄で人々から敬われてきた彼女は、幼い頃から王家に仕え、王太子の婚約者としても将来を嘱望されていた。だがある日、運命はあっけなく崩れ去る。
弟である王子は、ラナの妹・アリアと密かに結託し、彼女との婚約を破棄。さらに「身に覚えのない罪」を着せて、王国から追放されるように仕向けたのだった。
その目的はただひとつ。獣人族の国・ビストニア王国への“政略結婚”という名目の人質として、ラナを送り込むこと。
人間と獣人の間には、長年の偏見と文化の壁があった。
ラナ自身も「追放者」として冷たく扱われることを覚悟し、ただ国のために生きることを諦め、無感情に馬車に揺られていた。
だが──。
到着した獣人の国は、思いのほか穏やかで、豊かで、そしてあたたかかった。
無骨で寡黙ながらも誠実な王子・シルヴァ、陽気な猫獣人のレオン、料理好きの熊獣人エルザなど、個性豊かな人々がラナを迎え入れ、次第に彼女に心を開いていく。
何より驚いたのは、ビストニアでは食文化や薬学の知識が未発達だったこと。ラナの持つ知識や技術は、この国にとってまさに宝だったのだ。
「誰かのために、また何かを作ってみたい」
そう思えたのは久しぶりだった。
自ら採った薬草を使って薬を調合し、傷ついた兵士や病人を癒やすラナ。
人々のために「うどん」や「おにぎり」といった料理を作り、異文化の胃袋をつかんでいく。獣人たちは目を輝かせながら「これは何だ!?」「もう一杯くれ!」と大盛り上がり。
そして、そんな彼女の姿に、冷静だったシルヴァの心もゆっくりと、確実に揺れ始める。
最初は政略だった婚姻関係は、少しずつ心の距離を近づける時間に変わっていった。
「人間なのに聖女なんて…」「異種族の花嫁なんて…」とささやかれた言葉も、ラナにとってはもう恐くなかった。
この国の人々が、彼女の心を、本当の意味で救ってくれたのだから。
やがて、かつての祖国・ギィランガ王国に不穏な動きが起こる中、ラナはかつての“追放者”ではなく、獣人の国を支える聖女として、新たな運命と向き合っていくことになる――。
✨ラナの物語は「不遇からの再生」ではなく、「新しい自分を見つける」物語。
料理と薬、そしてやさしさで世界を変えていく聖女の、スローライフ×恋愛×ざまぁ系 異世界ファンタジー。
モフモフに囲まれながら、今日もラナは笑顔でおにぎりを握る。
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