漫画「仕事ができない榊くんは夜だけ有能」をネタバレ解説
昼下がりのオフィス。
書類をひっくり返し、慌てて謝る長身の青年――榊くん。
彼は、地味でドジで声が小さく、どこか所在なげに職場をうろつく“できない新人”として、周囲からは呆れられていた。
しかし、そんな彼にただひとり、根気よく接しているのが先輩社員の彼女だった。
几帳面で責任感が強く、いつも他人のフォローに回ってばかり。誰かに頼ることができず、自分を後回しにしてしまうようなタイプの女性。
──そんな彼女が、ある日、飲み会で酔いつぶれてしまった。
気づいた時、見慣れた部屋。隣には、なぜか榊くんの姿。
「送ってきただけですから」と控えめに言いながらも、どこか様子のおかしい彼。
――その夜、何があったのか。
思い出すのも怖いけれど、身体が忘れていない。
榊くんの触れ方、声、目つき……それは、昼間の気弱な彼とはまるで別人の“男”だった。
戸惑う先輩の心とは裏腹に、榊くんは確かな手つきで彼女を求めてくる。
「先輩が好きです」――その言葉に偽りはなく、けれどそれが恋なのか執着なのか、彼女にはまだわからなかった。
職場では相変わらずポンコツで、皆から「また榊くんか」と言われてしまう彼。
だけど、彼だけは夜になるとまるでスイッチが入ったかのように、激しく、情熱的に、彼女を求めてくる。
「なんで私なの?」
そう問いかけても、榊くんは真っ直ぐな目で「先輩だからです」と返す。
抱かれるたびに、心が揺れる。
彼の腕の中では、強がりも不安も全部ほどけてしまう。
そして気づけば、自分もまた、榊くんを必要としていることに気づいていく――。
だが、そんな二人の関係に影を落とす存在も現れる。
先輩の過去を知る元カレ、榊くんを「無能」と見下す同僚、すれ違う感情と言葉。
「自分なんかが隣にいていいのか」
榊くんが抱く劣等感と、「榊くんは特別なんだよ」と気づき始めた先輩の想いが交錯する。
それでも二人は、何度もぶつかり、抱きしめ合い、心を確かめていく。
誰もが見過ごした榊くんのやさしさと一途さに、
彼女は次第に心を開いていく。
――不器用でもいい。
仕事ができなくたって、そばにいてくれるこのぬくもりが愛おしい。
気づけば、榊くんは彼女にとってなくてはならない存在になっていた。
そして榊くんもまた、先輩との出会いをきっかけに、少しずつ“誰かのために頑張れる男”へと変わっていく――。
そんな、恋と成長が交差する、不器用でまっすぐなラブストーリー。
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