乙女ゲーム「クロ†ドラ ―黒い聖女と悪しき竜―」に異世界転生したけど無理ゲー、詰んだ ネタバレ!あらすじや結末予想も!

漫画「乙女ゲーム「クロ†ドラ ―黒い聖女と悪しき竜―」に異世界転生したけど無理ゲー、詰んだ」をネタバレ解説

私の人生は、トラックに轢かれたその瞬間、あっけなく幕を閉じた――はずだった。

気がつけば私は、かつて夢中でプレイしていた乙女ゲーム『クロ†ドラ』の中にいた。

しかも転生したのは、物語のキーパーソン“黒い聖女”ルルワ。

美しく、神聖で、そして少しミステリアスな存在として描かれていた聖女に、まさか自分がなるなんて。

第二の人生。ゲームの世界。異世界転生という最高のファンタジー。

そう、これが普通の乙女ゲームだったら、私は浮かれまくっていたに違いない。

でも問題はひとつ。――いや、ひとり。

カイン。黒騎士。私のパーティメンバーにして、ゲーム内で最も不遇なキャラクター。

ルートに入れば確実にバッドエンド。死亡、暴走、裏切り、破滅…。

どのルートを選んでも、彼の未来は暗く、絶望に塗れていた。

転生前の私は、彼の不幸な結末に涙しながらも、なぜか目を離せなかった。

その姿に惹かれ、彼にハマり、攻略情報を追い、何度もルートを辿った。

だけど今――私はその彼と直接向き合わなくてはならない。

彼に関われば死ぬ。回避するには、心を鬼にしてでも、彼と距離を置くしかない。

私は冷たく、そっけなく彼に接し続けた。

彼の視線から目を逸らし、言葉を短く切り上げ、関係が深まらないよう細心の注意を払った。

だってこれは、ゲームじゃない。今度こそ私は本当に死ぬかもしれないのだから。

――それなのに。

ある日、休息中の森で、耳に入ってきた激しい怒声。

何かが起こっている。直感がそう告げていた。

私は駆け出した。息を切らし、声のする方へ走る。

そして辿り着いた先で、私は信じられない光景を目にすることになる。

カインが、胸を聖なる剣で貫かれて倒れていたのだ。

その剣は、私――ルルワしか扱えないはず。

なのに、私の知らないうちに、彼はその刃で傷ついていた。

これは、ゲームのシナリオには存在しない展開。

物語が狂い始めている。だがそれは、私にとってチャンスでもあった。

「このままカインが死ねば、あのバッドエンドを回避できる……!」

私は迷わず“記憶玉”にセーブを刻み、彼に近づく。

トドメを刺せば終わる。これで未来は変わる。

……そう思ったのに、私は剣を振るうことができなかった。

血に濡れ、苦しむ彼の姿を見て、胸が痛んだ。

憎んでなどいなかった。むしろ、忘れられなかった。

涙がこぼれる。こんなはずじゃなかった――

私の手は剣ではなく、癒しの魔法を選んでいた。

「どうして……殺せなかったの……?」

震える声で、私は自分自身に問いかけた。

そんな私を見上げるカインの瞳が、静かに揺れる。

「……お前を、俺のものにしたい」

その言葉は、熱を帯びていた。

彼の想いが、痛みとともに心に突き刺さる。

私の選択は正しかったのか?

これは本当に“詰んだ”未来なのか?

あるいは今、この瞬間から――

バッドエンドではない物語が始まるのかもしれない。

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