漫画「陰キャリケジョと魔界の研究者で繁殖実験はじめました」をネタバレ解説
佐々木まどかは、生まれてこのかた勉強一筋の理系女子だった。幼い頃から虫の観察に夢中になり、周囲が恋愛にうつつを抜かしている間も、彼女の興味はひたすら「研究」と「実験」に向いていた。
その結果、立派な理系女子として大学を卒業し、晴れて社会人になった……が、就職先はまさかのブラック企業。終わらない仕事、終電ギリギリの帰宅、上司の理不尽な要求に耐える日々。「私の人生、このままでいいの?」と漠然とした不安を抱えながらも、毎日をこなしていた。
しかし──その夜、まどかの運命は激変する。
いつものように疲れ切った身体を引きずりながら帰宅していた彼女は、突然の雷鳴に驚き、気づいたときには眩い光に包まれていた。
──そして、次に目を開けたとき、そこは見たこともない異世界。
地面は黒くひび割れ、赤黒い霧がゆらめく不気味な光景。そして周囲には見たこともない奇妙な生物たちが蠢いていた。羽の生えた蛇のような生き物、目が五つもある蜘蛛、触れるだけで危険そうな植物……。
「ここ、どこ……?」
混乱しながら立ち上がると、目の前に一人の男が立っていた。
端正な顔立ちをしたその男は、まどかを見下ろしながら、無感情に言い放つ。
「……ヒト、か?」
その男の名はマウラ。魔界における生物研究者だった。
魔界の研究者×理系女子、奇妙な共同生活の始まり
マウラは魔界に生息するあらゆる生物の生態を研究する学者だった。しかし、これまで魔界には「ヒト」という種は存在しなかった。つまり、まどかは彼にとって初めて目にする珍しい生物。
「これは興味深い……」
マウラはそう呟くと、まどかをじっくり観察しはじめた。腕を掴まれ、髪を引っ張られ、瞳を覗き込まれ、まどかは戸惑いながらも必死で訴える。
「ちょ、ちょっと待って! 何するの!?」
「調査だ。お前は非常に珍しい種だ。研究対象として興味深い」
「研究!? いやいや、私、人間だよ!?」
恐怖に震えながらも、まどかは生き延びるために必死で頭を回転させる。そして、ふと思いついた。
──そうだ、研究者なら研究が最優先なはず!
「わ、私も研究が得意なの! だから、私を殺さないで! その代わり……研究を手伝うから!」
これが功を奏し、まどかはマウラの監視下で生きることを許される。こうして、異世界での研究助手(という名の被験者)生活が始まった。
「繁殖実験」の標的に!?
マウラの研究室には、魔界に生息するさまざまな生物が集められていた。彼はその生態を細かく観察し、種の繁栄や進化の過程を研究していた。
まどかも最初は「魔界の生物学、めちゃくちゃ興味深い!」とワクワクしながら研究を手伝っていた。しかし、問題は──
「ヒトのオスとメスの繁殖行動について、実験をしたい」
という、マウラの無自覚すぎる爆弾発言だった。
「……は?」
まどかの思考が止まる。
「ヒトの生態については情報がない。だが、観察したところ、お前はメスである可能性が高い。ならば、オスとの繁殖行動を観察するのが最も確実な研究方法だろう」
「ちょっ……まってまってまって!? その実験、絶対にダメなやつ!!!」
冷静な顔で「学術的に正しい」と語るマウラに、まどかは全力で拒否。
「私、非モテ陰キャ男耐性ゼロなのに!! こんな研究、無理すぎる!!!」
果たして、まどかはこの魔界で無事に生き延びることができるのか!? そして、感情を持たないと思われていたマウラが、次第にまどかへと向ける視線の意味とは……?
──これは、異世界の研究室で巻き起こる「研究対象と研究者の境界を超えた」ラブコメ(?)の物語!
0コメント