漫画「王妃のプライド」をネタバレ解説
ティルダがアシュケルド王国に嫁いできたのは、わずか十二歳のときだった。国の同盟のため、幼くして政略結婚を強いられた彼女。しかし、夫となるカーライル王は 「こんな子供と夫婦になれるか」 と激怒し、それ以来、彼はティルダを まるで存在しないかのように扱った。
そして迎えた初夜――。
カーライルはティルダのもとに訪れることはなく、その夜を 別の女性・ブリアナと過ごした。王宮にはすぐに噂が広まり、ティルダの耳にも入ることとなる。 「王妃ではなく、ブリアナこそが王の伴侶だ」 と。
ブリアナはヒッグスという有力部族の出身で、カーライルの王妃候補としても噂されていた女性だった。彼女は権力を笠に着て 堂々とティルダを蔑み、王妃の席すら奪う。カーライルもそれを咎めることなく、まるでブリアナこそが真の王妃であるかのように扱った。
しかし、ティルダは 王妃としての誇りを捨てなかった。
夫に冷遇され、愛人には侮辱され、宮廷の者たちからも見下されながら、それでも ティルダは王妃であることを諦めなかった。だが、彼女の周囲からは少しずつ人がいなくなっていく。共にローモンドからやってきた侍女たちは、耐えきれずに辞めていき、最後には ティルダひとりだけが取り残された。
そんな中、カーライルが ローモンドでの反乱鎮圧のために出征 することが決まる。夫が留守の間に、ティルダは 王妃としての立場を確立しようと決意 する。
そして、彼の帰還の日――ティルダは王妃として堂々と迎えに出ようとした。
だが、それを許さぬ者がいた。
ブリアナは 「厚かましい王妃だ」と宮廷の者たちを扇動し、ティルダの迎えを阻止。さらには 彼女を引き倒し、泥まみれにする という屈辱まで与えた。城内では ティルダを嘲笑する者ばかり となり、彼女の食事にすら手を加えられ、 腐った食べ物を出される という嫌がらせまで横行した。
それでもティルダは 泣かなかった。 逃げなかった。
「私はアシュケルドの王妃。誇りを捨てるわけにはいかない」
――そうして耐え続けるティルダの姿を、ついにカーライルも目にすることになる。
ティルダが苦しめられていることを知ったカーライルは、次第に 彼女の強さと誇りに惹かれ ていく。そして、これまで 彼女を無視し続けた自分の愚かさに気づく のだった。
では、ティルダは?
いまさら夫が自分を見つめても、許すことができるのか?
愛を向けられたとして、それを受け入れるのか?
――ティルダの 誇りをかけた最後の選択 が、いま幕を開ける。
0コメント