漫画「社交界の毒婦とよばれる私~素敵な辺境伯令息に腕を折られたので、責任とってもらいます~」あらすじ
私は、社交界で『毒婦』と呼ばれている。
けれど、それは私が望んで手に入れた称号ではない。異母妹マリンの望み通りに悪役を演じているのだ。そうしなければ、マリンを溺愛する父から食事を抜かれる罰が待っている。だから私は今日も、華やかなドレスに身を包み、周囲の冷たい視線を浴びながら笑う。
今宵の夜会。マリンのお目当ては、名門バルゴア辺境伯の令息リオ。
「はいはい、マリンの計画通りに動いてあげるわ」
私は赤ワインのグラスを手に取り、悠然と歩み寄る。リオの頭上へと、真紅の液体を浴びせる。それが私の役目だと思っていた――その瞬間までは。
「……っ!」
鋭い視線と共に、彼の手が私の手首を掴む。次の瞬間、ゴギッと鈍い音が響いた。
痛みが脳裏を貫き、息が詰まる。
(……嘘でしょう?)
予想外の展開に、心がざわめく。冷たいはずの彼の手が、妙に温かい。私は今、運命の歯車が回り始めた音を確かに聞いたのだ。
劇的な出会いが、偽りの仮面を剥がし、私を本当の幸せへと導いていく――。
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